数多くある諸金利の間には自ら一定の秩序が必要とされているのです。これを金利体系とよんでいます。各金利の間に働いている関係を説明しましょう。
①銀行預金と郵便貯金の金利はおのずから一定の関係にあることが望まれます。これは主に、これらの預貯金を利用する側にとって、これらの金利の間に大きな差があれば貯蓄資金の流れがいずれかの一方向に傾斜する恐れがあるからです。
こうなれば現行の金融秩序を混乱させるだけ。たとえば銀行預金の金利が一段と低く、これによって銀行預金に資金が集まらないとすれば、経営にも少なからす影響するでしょう。
②銀行は預金、あるいは日本銀行から借り入れた資金を、短期プライムレート、あるいはそれを基準にした金利で企業などに貸し出すことになります。借り入れた資金に比べて貸し出すお金の金利が高くなければ、当の金融機関の経営は成立しませんよね。
つまり、ここでの金利の差が、金融機関の預貸金業務の分野での収益性を基本的に規定することになるのです。
③債券発行金融機関は、利付金融債や割引金融債の発行で得た資金を長期、あるいは短期プライムレート基準の金利で貸し出すことになります。したがって、これらの金融債の金利に比べてプライムレートなどの貸出金利のほうが高くなければ、収益を上げることができません(現在、5年もの利付金融債の表面利率に0.9%上乗せした水準で長期プライムレートが決められています)。
④信託銀行は、貸付信託で吸収した資金を長期プライムレート基準の金利で貸し出すことになります。したがって「貸付信託金利<長期プライムレート」という関係になければなりません。これも当の金融機関の経営上の問題に直接結び付いてきます。
⑤企業にとっては、金融機関から長期プライムレート基準での金利で所要資金を借り入れるのか、それと社債の発行で資金調達を行なうのかは原則として自由ですよね。ここでは、一方の金利が他方の金利と大きく異なるという事態は生じようがありません。
⑥企業も個人も、お金の運用に関して国債、利付金融債、社債のうちどれを選択するかは自由です。ということは、これらの債券の発行利回り(購入者側から見ると応募者利回り)に大きな差を設けることはできません。
これは、これらの債券の発行者にとっても言えることです。たとえば、これらのうち利付金融債のみが一段と高い利回りで発行されたとすると、これに対する買い需要が集中して、国債や社債が円滑に販売できないということにもなりかねないからです。
先物が将来の予測をしたら大間違い!
FX先物相場と一口でいいますが、3ヵ月先や6ヵ月先の為替相場なんて、誰が予想するのだろう、FXの為替ディーラーってスゴイ予想ができるのだ......と不思議に思いませんか?
世の中、一寸先のことは闇、未来のことは実は誰も予測はできません。為替の先物相場は競馬の予想とは基本的に違うものです。
結論から言うと、先物相場は取引される通貨(ドルや円)の金利との関連で決まってくるものだ、というのが本当のところです。
本来、FXの先物相場とは、為替変動のリスクを最小限にしようというのが狙いであって、「将来の相場の予測」とは無関係なのです。
あくまで、それぞれの通貨を運用した時の損得の可能性を前提に考えられるものなのです。